海外ボランティア活動・CECジャパンネットワーク

モンゴル・ボランティア参加者レポート

心身ともにとても強くなった

私は、2015年8月3日~16日の間、CECモンゴル日本語プログラムに参加しました。今回は、ボランティアとして地元の人と多く関わりながら異文化を自分自身も体験できると思い、参加を決めました。日程は以下の通りです。
3日:夜、ウランバートル着。そのままエルデネトへ移動
4日:早朝エルデネト着
5、6日:エルデネトで日本語ボランティア
7日~9日:日本文化学習キャンプに参加
10日:エルデネトで日本語ボランティア
11日:エルデネト→ウランバートルへ移動(7時間)
12日:テレルジ観光
13、14日:ウランバートルで日本語ボランティア
15日:ウランバートル観光
16日:早朝に帰国
(滞在)
エルデネト:ホームステイ
キャンプ:キャンプ場のキャビン
ウランバートル:Zaya Guesthouse
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日本の準備体操をしました。キャンプには、青年海外協力隊の方4人と私の、計5人の日本人が参加しました。

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キャンプ場のキャビン。キャンプ場は毎年変わります。
 
2.エルデネトについて
 エルデネトは、ウランバートルに次ぐモンゴル第二の都市ですが、それは人口が多い(9万人)というだけの話で、観光場所はほぼ無いと言っていいほどです。ショッピングセンターがいくつかある住宅街、というような街だと思います。その分、地元の人のありのままの生活を見たり、田舎の素朴な温かさを感じたりすることができます。観光旅行ではまず行かない街でしょうから、CECのプログラムを通してこのエルデネトを訪れることを私はとてもお勧めします。
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エルデネトを一望。小さな街のすぐ外にはもう草原が広がっています。

エルデネトでは、夏休み中の公立学校の一教室をお借りして、自分の好きなカリキュラムで午前は1時間半、午後は1時間、日本語を教えました。これは、日本文化学習キャンプの事前、事後学習のようなもので、生徒さんはひらがなが読めない7歳から流暢に話せる23歳まで、本当に様々な人がいました。JICAの青年海外協力隊の方の助けもあり、小さい子どもとある程度日本語の話せる人の2つにクラスを分け、私は主に後者を教えました。
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 エルデネトでの日本語授業は、特に心配はいらないと思います。私は、アイスクリームの買い方など、実用的で楽しく学べる日本語を教えました。なかなか日本語を聞き取れなくて、不安な顔つきになる生徒さんもいましたが、その時は難しいものを早く切り上げて、ゲーム感覚で日本語を学べるもの(「右!」と言ったら右にはねるゲームなど)をするようにしました。ある程度日本語を話せると言っても、生徒さんはほとんど中学生、日本語も初級ですから、日本語を流暢にしてあげようという気持ちではなくて、日本語は楽しいと思ってもらえるようにしよう、という気持ちで臨むといいと思います。
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エルデネトの中心部。

 小さい子どもは、全員ひらがなが読めませんでした。彼らには、簡単なあいさつや食べ物などの名前を教え、あとはフルーツバスケットやかごめかごめなど日本語、日本文化で遊ぶというような授業をしました。日本の小学校のALT英語でやるような授業です。
 2泊3日の日本文化学習キャンプは、ぜひ参加するといいです。このキャンプで、事前学習の2日間教えていた自分の生徒とぐっと距離が縮まることと思います。このキャンプは、日本語を教えるというより、日本文化を教えるためのキャンプです。折り紙やけん玉、習字などを教えたり、縄跳びやアルプス1万尺などで遊んだりしました。ここでの日本人の存在はとても大切ですから、なるべく多くの日本文化のネタを持っていくといいと思います。私は日本舞踊や地域の祭りでの篠笛の経験があったため、浴衣を着て日舞を披露したり、祭りの踊りを教えて篠笛に合わせて生徒さんに踊ってもらったりしました。小さな子どもたちは遊び盛りで、私が少しでもキャビンを出るとたちまち飛びついてきて、「遊ぼう遊ぼう!」の大合唱。1日中子どもと走り回って少し疲れますが、いい思い出になりました。モンゴルの子どもは人なつっこく、本当にかわいいです。
エルデネトでのホームステイは、私がモンゴルを好きになった一番大きな要因だと思っています。ホストマザーは少しだけ日本語ができたのですが、それでもお互いに言葉がなかなか通じませんでした。しかし、一緒に料理をしたり、互いの言葉を教え合ったりするうちに、いつしか本当の家族のような存在になりました。
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3.ウランバートルについて
 ウランバートルでは、食べ物、インフラ等含め、日本と同じような生活ができると思います。少々田舎のエルデネトからウランバートルに向かうと、まるで違う国に来たかのような気持ちになります。人の雰囲気もずいぶん違います。ウランバートルの人は、良く言えば大人っぽい、悪く言えば少し距離があるというような、都会っぽさを感じる瞬間が多くありました。
 ウランバートルでは朝日新聞の後援する日本語学校で日本語を教えました。ここの生徒さんはたったの1、2か月しか日本語を勉強していませんでしたが、みな日常会話に問題がないほど流暢で、そのやる気と勉強量にとても驚かされます。また、勉強している人は20~30歳の男性が多いという印象です。
 朝日での授業は、ほぼ1日中と考えてください。私は、1日目は12時~18時、2日目は10時~17時に授業が入っていました。ここでの授業は「みんなの日本語」という教科書を使い、教え方が決まっています。しかし、教え方は現地の先生に指示されますし、すぐに覚えられるので、こちらも心配する必要はありません。朝日でのボランティアは、やる気のある人や日本に強い興味のある人に日本語を教えたいと思っている人にお勧めです。ただ、個人的な感情として、朝日の雰囲気はエルデネトに比べてやや淡々としていた気はします。地元の生活を体験したり、現地の人と関わり合ったりしたい人は、エルデネトがお勧めです。
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また、ボランティアに来ているのに観光の話をするのもなんですが、やはりせっかく一国の首都に来ているので、あちこち回りたい気持ちはあると思います。もちろん優先順位は授業が先ですが、後悔しないように、限られた時間で効率よく街を散策する計画を事前に考えておくのもいいかと思います。私の滞在は短かったですが、夕方から夜の時間帯2回分と授業のない1日分で、だいたいウランバートルを回りきることができました。
ゲストハウスは、文句も考えられない素晴らしさです。英語が話せる人は、他のお客さんやスタッフの人との会話も弾み、より楽しいと思います。まるでホテルにいるような快適さでした。ゲストハウスが初めてでも、安全面、衛生面など何も心配することはありません。

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4.最後に
 このプログラムは、ある程度海外に慣れていて、忍耐力のある柔軟な人、またチャレンジ精神のある人に向いていると思います。モンゴルでは、日本では考えられないことや、言葉や伝達ミスなどの問題から何が起きているか全く理解できない、ということが数多くあります。例えば、キャンプ中はもちろんシャワーはありませんし、キャンプ場のトイレは大きなハエが10も20もたかっている、紙もドアもないただの穴でした。CECのプログラムではありませんが、あまりの現実に泣いて帰ってしまった日本人の話も多く聞きました。ですから、新しい環境や状況の変化に焦らず、ピンチはチャンスに変えられる、というような楽観的な思考で臨むといいと思います。
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しかし、上のことは「そんなこともあるんだな」と頭の片隅に入れておいて、恐れずにぜひこのプログラムに参加してほしいと思います。行って、実際に日本と全く違うモンゴルの環境におかれたら、わくわくした気持ちで不思議と心配など吹き飛んでしまいます。帰国して間もない今、プログラムに参加して心から良かった、とても楽しかったと思っています。モンゴルの人々との交流ができたことはもちろんですが、モンゴル特有の困難や、日本人がほとんどいない中1人で異国の地に生活するということを乗り越え、心身ともにとても強くなったと実感しています。
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現地の人、生活を大切にした旅をしてみたいと思っている人、周りと少し違ったことをしてみたいという人は、ぜひこのプログラムに参加してください。モンゴルはとてもいい国で、人も優しいです。きっと一生心に残る思い出ができると思います。
最後に、私のモンゴル訪問をサポートしてくださったCECの方々に感謝いたします。本当にありがとうございました。夢のような2週間でした。

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キャンプ場での習字の時間。

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日本ではやった踊りなどを教えました。子どもたちは大喜び。

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小さい子の授業の様子。

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お借りした公立の小学校。

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