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ネパールでのボランティア活動プログラム

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■ヒマラヤのふもと、昔ながらの人々■
■■■ネパールへの想い■■■

まだボクがバックパックをかついで世界を旅をしていた頃の話だ。旅先で出会ったイギリス人バックパッカーが「世界で一番美しい国はネパールだ!」と語っていたのを覚えている。
ネパール 当時、ネパールなんてよく知らなかったボクは、世界のどこかに自分の知らない美しい国があることに驚き、ネパールのナニがそんなにいいのか?と不思議でならなかった。しかし、それからボクの頭の中の片隅には、「いつかはネパールへ!」という思いがずっとこびりついていたのだと思う。

はじめてネパールを訪れたのはそれから2年後のこと。

今からもう16年も前の話だ。そのころ日本はバブルに沸いていて、1億以上もするマンションが即日完売し、高級車が次々と売れれていた。

人々は夜な夜な街に繰り出し、高価なお酒と料理を出す店に行列ができた。週末の夜にはタクシーの空車がつかまらないほどだった。

そんな日本からバンコクを経由して、首都カトマンズの空港に降り立ったボクは目を疑った。首都の空港だというのに、その建物は沖縄の石垣島にある空港ぐらいの規模しかない。
なんかの食べ物の独特の匂いが鼻をくすぐり、周りにはバラックのようなボロボロの建物(当時のボクにはそう見えた)がどこまでも続いている。ビルなんてありはしない。

通りには車がチラホラと見えたが、どれも驚くほどボロボロの車。よく見れば日本語で「大阪屋商店」「鹿児島観光ホテル」などと書いてある。
ネパール
日本で10年以上前に廃車になった車にこんなところで出会おうとは……。街には汚れた衣服を着た人々がたむろし、ギョロッとした目で珍しそうにボクの顔を見た。

当然、ボクはちょっと怖かった。当時アメリカとかヨーロッパなどの先進国ばかりを旅していたボクには、アジアの混沌とした雰囲気は苦手だったのだ。

汚れた街にボロボロの建物。街にならぶ汚い食べ物。そしてすぐにワッと寄ってきて自分をだまそうとする人々…。そういった後進国の雰囲気にうんざりしていた。そして、ネパールも単にそういった国々のひとつでしかないのでは?と思い始めていた。

しかし……、そんなボクが「あれっ?」と思ったのは、それから数時間もしないうちだった。夜になり、夕食を取りに街を歩いたボクは、道行く自転車に乗ったネパール人に声をかけられた。

「こんにちは、日本人ですか?」。流ちょうな日本語だった。「そうですよ」とボク。「どこから来ましたか?」「東京です」そして、ひととおり会話を交わした後、彼は「ネパールはいいところですよ、楽しんで滞在して下さいね」といって、さっそうと去っていった。物売りかと思って身構えたボクは拍子抜けした。

次に驚いたのが、道行く人がボクを見ると挨拶してくれることだった。「ナマステ(ネパール語で『こんにちは』の意味)」「ハロー、グッドイブニング!」、最初はなにかコンタンがあるのかと怪しんだが、すぐにそれが普通のことなのだと気づいた。

みんな何かをたくらんでいるわけではなく、出会った外国人に挨拶をする。ただそれだけだった。夜、街を歩いていてもまったく危険はなく、みんな親切だった。

観光客のネパールでの一番の目的は、ヒマラヤの麓の村々をトレッキングで旅することだ。ネパールに来た外国人のほとんどがトレッキングを楽しむ。トレッキングとは山登りではなく、山の麓の村々を歩いて旅することだ。

「歩く」というと引いてしまう人がいるかもしれないが、村々を回るには電車やバスはないのだから、歩いて旅するしか方法はない。自分の荷物を背負って、村人たちが昔から生活に使っていた道を観光客も歩いて旅をする。

疲れたら適当な村で休息をとり、日が暮れそうになったら村の宿で泊まる。まるで江戸時代の東海道みたいだ。ヤジさんとキタさんが旅したような感覚なんだろう。

山道で出会った村人は、男性も女性も、若者も年寄りも、ボクが手を合わせて「ナマステ」と言うと、必ず「ナマステ」と笑顔で返してくれた。女性も恥ずかしそうに「ナマステ」と答えてくれた。

子どもたちは「ナマステ!」と大声で叫ぶと、ボクの後を面白そうについてきた。みんな素晴らしい笑顔で、イキイキとしていた。生命の力を感じた。
トレッキング中に現地で知り合った日本人と話し合った。
「ネパールって変な国だなぁ」
「そうなんだよ、みんな妙にいい人なんだよな」
「心が洗われるよー」
世界の国々を旅してきたバックパッカーの猛者たちが口々に言った。
ネパール
でも、ネパール人の生活が貧しいことは誰の目にも明らかだった。聞けば、首都カトマンズの人でも、月収は日本円にして数千円程度。山間部の人ならほとんど収入0といってもいいらしかった。

子どもは学校に行かず、家の手伝いをして少しでも家計を助ける。食べるのがやっとで、ビデオもCDも車も無縁の暮らし、海外旅行なんて夢のまた夢だ。

でも……、日本人の方が何十倍も「いい暮らし」をしているはずなのに、ネパール人たちの方が生き生きとして、幸せそうだった。ボロボロの家で楽しそうに暮らし、目を上げると美しいヒマラヤの峰があった。

雪を抱いたその巨大な山々は、ネパール人が神とあがめるように、凛として光っていた。その下で、素朴な人たちが一生懸命暮らしていた。

それから、日本に帰るとボクは逆カルチャーショックになった。まるで田舎から出てきたばかりの人のように、人の多さにとまどい、なんでもかんでも近代的なのに驚いた。日本では無表情な人々たち満員電車の中にギュウギュウ詰めに重なっていた。

誰かがわざとらしく作った最新建築のビル街を、無表情な人々が列を作って会社に向かって歩いていた。まるでロボットのようだった。いったいどっちが幸せなんだろう? ボクはわからなくなった。

■■■ネパール再び!■■■
あれから16年たった今年、再びネパールの地を訪れました。このネパールでのホームステイプログラムの準備のためです。あのころ、ボクが体験した想いを、ぜひ若いみんなにも感じて欲しいと思ったからでした。

16年ぶりに訪れたネパールはずいぶんと変わっていました。首都カトマンズの街には車があふれ、あちこちで交通渋滞が起こり、クラクションがブーブーと鳴りまくっています。狭い通りにも車が進入し、人々は排気ガスでけむたそうな顔をしています。スーパーマーケットもあり、インターネットカフェだってちゃんとありました。

とくに町の人の暮らしはすごい勢いで変わっているようで、スニーカーやジーンズを履き、ピッタリしたTシャツを来たオシャレな女の子たちも見かけました。マクドナルドはまだ見かけませんでしたが、そのうちできてもおかしくありません。世界中に広がっている西洋化の波も、ネパールを確実に変えつつあるようです。
ネパール でも……、人々の心はあのころとそれほど変わっていないようです。出会った人に「ナマステ」と言って手を合わせると、ニコリと微笑んで「ナマステ」と返してくれます。みんな親切で、町中を歩いていても危険な雰囲気はこれっぽちも感じません。みんな、素朴ないい人たちです。

もちろん、街や観光地に物売りや客引きはいますし、多少高い値段を言ったりすることもありますが、それは生活のため。
悪人なのではなく、たくましく生きるためになるべく高く売りたいだけで、世間話をしてみると意外とみんないい人です(もちろん、悪い人が皆無というわけではないので、海外で過ごす上での最低限の注意は怠りなく!)。

して……、カトマンズの街を少しでも出ると、かつてのネパールがそのまま残っていました。車で30分も走れば、もう郊外の素朴な田園風景が広がります。のどかな田んぼが広がり、背後にはヒマラヤの雪を抱いた高い峰がそびえています。村に入ると、狭い路地にレンガの家。あのころボクが「ボロボロ」だと思っていた建物も、じつは中に入ると意外と快適なことに気づきました(ホームステイプログラムのホームステイ先では、そんな伝統的なネパールの家に滞在することもできます)。広場ではおばさんたちが洗濯をし、子どもたちが裸になって水浴びをしています。その周りでは、犬が放し飼いにされ、牛がのんびりと寝転がっています。そういえば昭和30年代ごろまでは、日本もこんな雰囲気だったといいます。

生活もあいかわらず「豊か」とは言えません。みんな生きることで精一杯です。精一杯働いても、ひと月の給料は公務員で数千円程度。公務員でこれですから、他の一般労働者の収入は容易に想像できます。ネパール人の月給より、日本のみなさんがアルバイトで一日に稼ぐお金の方が多いのが現実なんです。

でも、ネパール人よりはるかに日本人の方が不幸そうに見えるのは、なぜなんでしょうか? ネパール人に言われました。「日本で自殺する若者がいるらしいけど、ネパールでは考えられないよ!」って。お金にも困ってない、欲しい物だって簡単に手に入る、自由だってある、なのに自殺するなんて……正直言ってボクは返答に困りました。

素朴で親切で、ちょっとシャイなネパールの人たち。日本人が西洋化して、生活が便利になってしまうにつれて何かを失ってしまったように、いつかはこの人たちも変わってしまうのでしょうか?自殺する若者が出てくるのでしょうか?
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