参加者レポート
タイ・チェンライの山岳少数民族の村へ!
大学生、Yさんからの投稿です。
■参加期間:2025年6月16日~6月22日
■ボランティアの種類
地域開発
子供関連
■滞在形態 ホームスティ
■ボランティアの活動内容と、その活動時間等
タイ北部チェンライに8日間滞在し、そのうち3日間を山岳民族であるアカ族の村で過ごした。
畑での種植え作業や川での堰づくり、住民や子供たちとの交流を通して、民族の文化やタイの社会について学んだ。
畑でパイナップル、マンゴー、アボカドなどを採ったり、竹を切るなどの体験をさせていただいた。
■参加期間中の面白い発見、感動したエピソード
・村の状況と変化
私たちが訪れたユーソック村ではアカ語が話されてきたが、近年は高齢者を除くほとんどがタイ語を話すことができる一方で、「難しいアカ語」は分からない若者も増えているという。 アソーさんに「今後アカ語は無くなると思うか」と伺った。アソーさんは「それは無いと思う」と即答した後で、少し迷ってから「ただ、30年後はまた状況が大きく変わっているかも分からない」と答えた。
ユーソック村は竹を中心とした生活をしており、竹で作った伝統的な家が村の話し合いや憩いの場として今も使われている。しかし、住民が生活する「住居」は、近代的な一軒家が増えている。村を歩く中で、建設中のコンクリートの家を何軒も見かけることがあった。私たちが滞在した、高齢のおばあちゃんが暮らす家も、「村」と聞いて想像していたものに反して、非常に近代的なコンクリートの家だった。韓国人と結婚し、今は韓国に暮らす娘が親孝行として建ててくれた家だと、アソーさんがおばあちゃんに代わって説明してくれた。アソーさんもおばあちゃんも、どこか誇らしげで嬉しそうだった。アソーさんは「ここ30年で大きく変わった」「30年後、どうなっているか分からない」としみじみと語るが、特に悲壮感がある訳ではなく、意外にも変化を肯定的に捉えているように感じられた。
・何のためのボランティア? 私たちのボランティアは具体的にどの課題に対するアプローチだったのか。実際に体験させていただいたのは畑での種植えや堰づくりだが、これらはまさに「体験」で、ボランティアという側面は薄かったように思う。アソーさんは「沢山体験させてあげたい」「無理はさせたくない」と何度も仰っていて、私たちの活動が、具体的な「困っていること」に直結していないように感じた。 その中で、このボランティアについて、以下の目的があると考えた。 /②村と社会を繋げる 最も強い要素だと考えたのが、村内部への影響だ。私たちという異なる文化を持ち、彼らに関心を持つ「部外者」が訪れることで、急激に変化していく中で「村の文化や伝統価値への自覚」を促しているのではないか。また、山の中の村という閉鎖的になりやすい空間の中で、タイどころか国外の人が訪れることで、村の外の社会に進出しつつある子供たちへの教育的側面も多分に含むように感じた。 これらのことからSharingが行う「ボランティア」とは、具体的な「支援」だけが目的ではなく、広い目で集団や個人にアプローチしていくことを目的していると考えられる。ボランティアの在り方として、とても工夫されているように思った。
・アカ語は文字がない 滞在中、タイ語やアカ語を沢山勉強した。その中で最も驚いたのが、アカ語は文字を持たないことだ。文字を持たない言語を習うのは初めてだった。アカ語の文法は比較的簡単に見えたが、発音が複雑で、文字もないと来たので、話者を通さない勉強が非常に困難だろうと思った。
また、アカ語で「おやすみ」を表す挨拶が、かつて使われていたものから、英語の「good night」のような言い方(つまり「良い/夢」のような言い方)に変わったと教わった。社会や時代に合わせて変化している点で、「昔の言葉」ではなく、日常に根差した「生きた言語」のように感じられて面白かった。
・野良犬? 村では沢山の犬、猫、ニワトリが道を歩いていた。道を歩けば犬にあたる、というありさまだった。野良犬にはむやみに触らないように、大声で騒がないように、と言われていたので、私たちは犬に道をふさがれる度にビクビクしながら足を止める。そうするとすぐに、どこからか住民が出てきて、何やら犬を叱ると、犬はしょんぼりして道を空けるのだった。そのうち、実際はどの犬も敵意が無く、こちらに向かってくる犬は「ただ遊びたいだけ」だと分かってきた。全く人を警戒しておらず、嬉しそうに尻尾を振っては村の人に叱られてしょんぼりしているのが面白かった。動物と村の住民が、とてもいい関係を保っていることが伺えて興味深かった。
・旅人に卵を渡す文化 滞在したアカ族の村を離れる際、お世話になったアカ族のおばあちゃんが、ボランティア一人ひとりに卵を握らせてくれた。とても大切そうに渡すので思わず感謝しながら受け取ったものの、全員が「いま卵??」という顔をしていたので、アソーさんが村の古い文化だと教えてくれた。その深い理由に私たちは大変感動したが、それはそれとして困った。流石に生卵ではなくゆで卵ではあったものの、30度の暑い中、数時間車で大切に握りしめられた卵は、その後こっそりと捨てられた。
■お小遣いはいくら持って行かれましたか?
ツアーや寝袋代を含め3万円分ほど持っていき、1万円分ほど余りました。主に、連れて行っていただいた市場と、帰りの乗り換え空港で使いました。面倒だったのですべて羽田で両替しました。
■今後参加される方へのアドバイス(持ち物、準備等)
・アソーさん
2019 年にSharingを立ち上げた、山岳民族アカ族の男性で、アカ語、タイ語、日本語(おそらく英語も)が堪能です。タイや村の歴史、文化について沢山教えていただきました。訊けば何でも答えてくれます。Sharingには他にも、日本語が分かるスタッフの女の子がいて、本当に頼りになりました。
・気候
6月中旬ですが、とても暑かったです。村は高所なので多少は涼しいものの、半袖で十分でした。雨は突然降って突然止むので、傘もレインコートも使う機会がほとんどありませんでした。未使用のレインコートはそのまま寄付しました。
・虫よけ
日本で買った虫よけは効きません。これからタイに行く方は、最初にセブンイレブンに行くタイミングで絶対に買うべきです。使いまくったので小さいサイズだと足りず、買い足しました。
・洗面周り
シャンプー等はありません。セブンにもあったと思いますがアソーさんなどに訊かないとどれか分かりません。友人が使って、髪がサラサラになったと喜んでいました。トイレ用にポケットティッシュを大量に持っていくべきですが、「水に溶けるティッシュ」でも流せないことに注意です。小さいゴミ袋を沢山持っていくと大変役に立ちます。
・犬
Sharingにいる犬は注射を打っているので、綺麗ではありませんが触って大丈夫です。パンダとマリコの二匹がいて、撫でまわしました。とても人懐こいので、犬にアレルギーがある方は注意が必要です。
・ホームステイ
ホームステイ先の方と交流する機会は殆どありませんでした。玄関ドアの鍵のかけ方が分からず苦戦しました。分からないことはすぐにアソーさんに訊いた方が良いです。
・セブンイレブンのシェイクがとてもおいしかったです。ただ、頼むのがとても難しく時間がかかったので、スマホに文字を打って見せるべきだったと反省しています。