CECがセブでNGO活動を始めた理由
ストリートチルドレンとの出会いから始まった支援(2006年)
私がセブで初めてストリートチルドレンに出会ったのは 2006 年のことでした。教会前の路上で、幼い妹を抱えながらロウソクを売る少女の姿が目に留まりました。 観光客に声をかけ、少しでもお金を得ようと懸命に働く姿に胸を打たれ、 「写真を撮らせてほしい」と声をかけたのが最初のやりとりでした。
ロウソクは礼拝に訪れる人に売るためのもの。妹や弟を背負いながら働く彼女は、まだ小学生ほどの年齢でした。その後プリントした写真を届けようと住所を教えてもらいましたが、届くことはありませんでした。
後になってわかったのは、彼女たちは正式な住所を持っていなかったという事実です。 「住所を書いてくれた紙」は、どこにも存在しない世界の住所でした。
セブには、幼い頃からもの売りをしたり、観光客に声をかけて生活費を稼ぐ子どもたちがいます。 家族のために働かなければならず、通学できないまま成長していく子も少なくありません。 生活の拠点は山間部にありますが、交通費がなく帰れず路上で寝泊まりすることもあります。
そんな子どもたちを「なんとかしたい」という思いを持つ日本人主婦のグループと出会い、私自身も強い衝撃を受けました。 この出会いが、本格的な支援活動の始まりでした。
子どもたちに教育と食事を届けるために(2008年 NPO設立)
最初の出会いから 2 年後、私たちは日本人主婦の有志とともに 「教育の機会を届けたい」「1日1食の生活を変えたい」 という思いから NPO法人 EMS を設立しました。
支援内容は、今も変わらないシンプルで本質的なものです。
- 子どもたちが学校に通えるよう、文具などの教育費を提供
- 空腹のまま授業を受ける子どもたちに、学校で昼食を支給
- 遠足・クリスマスイベントなど、情操教育の機会を提供
支援を続けられているのは、会費という形で継続的にサポートしてくださる日本の会員の皆さまのおかげです。 詳しい活動内容は NPO法人 EMS の公式WEBサイト にまとめています。
現地の人自身が地域を変えていくために(2015年 セブでNGO設立)
2006年から一緒に動いてきたフィリピン人スタッフとともに、 「貧困の連鎖を断ち切るためには、地域の人たち自身が主役になるべきだ」 という理念のもと、2015年に現地NGO SLPC を設立しました。
貧困は「無関心」から生まれるものだと感じています。 セブの一般市民はスラム地区に近づかず、「危険だから」と距離を置きます。 しかし、スラムに暮らす多くの人は家族思いで、真面目に生きている普通の人たちです。
もし地域の人々がスラムの現状を理解し、隣人として支えあう関係が築ければ、セブの社会は必ず前に進める——。 その信念が、SLPC 設立の原動力になりました。
現在の活動内容は SLPC公式サイト(現地法人) に詳しく掲載しています。
CECが続ける「現地と共に歩む支援」
CECが大切にしているのは、「支援する側・される側」という関係ではなく、 “共に未来をつくる”パートナーシップ です。
セブの子どもたちの未来が開けるように。 そして、日本から参加するボランティアの皆さんが、 国際協力のリアルな現場で「学び」と「成長」を得られるように。
私たちは今後も、現地の人々と肩を並べながら、持続可能な支援の形を追求していきます。


