フィリピンの教育事情

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フィリピンの教育事情

教育制度大改革

つい数年前までのフィリピンの教育制度は、初等教育(小学校)が6年間、中等教育(現地ではHigh School/高校という)が4年間の6-4制で、その後は大学などの高等教育になりました。日本の6-3-3制や、それと似た制度を持つ国々に比べると、基礎教育(初等・中等教育)が2年間少なかったのです。年齢でいえば、高校卒業時は16歳で、4年制大学の場合、卒業時にはまだ20歳だったのです。

セブ海外ボランティア

生まれ変わったフィリピンの教育事情

この教育制度の弊害が昨今、強く指摘されるようになってきました。

第一に、基礎学力の低下です。国際教育到達度評価学会(IEA)によれば、2003年調査においてフィリピンは、14歳(日本の中学2年生相当)で、数学が参加国46カ国中42位、理科が46カ国中43位でした。これは12年間分の内容を10年間で詰め込むため、教育の質が低下しているためといわれています。

第二に、就職の問題です。フィリピンの成人年齢は18歳ですが、高卒時は16歳です。16歳では精神的にもまだ未成熟で就職先も限られます。また、経験不足とみなされその後の雇用機会にも恵まれず、失業状態が続く可能性が高いのです。フィリピンの失業者の約3割は高卒の学歴であり、また失業者の半分が15-24歳の若者たちです。

第三に、海外との制度の違いがもたらす不利益があります。例えば、12年間の基礎教育を条件とする海外の大学に直接進学できず、2年間、国内の大学に在学するなどして時間をかける必要があります。また海外出稼ぎ労働者のなかには、国内では専門知識を持つエンジニアとされていても、海外では基礎教育が不足しているとして一段階下のテクニシャン扱いになったりします。加えて、フィリピンでは小学校の段階から中途退学する子供が多く、家が貧しく家計を助けるために働かなければならなかったり、そうでなくても学習意欲を失ったりして、学業を続けられないのです。ある試算では、小学校に入学しても6年間最後まで通い続けられるのは7割程度だといいます。

フィリピンの教育制度の改革着手

そこで、フィリピン政府は基礎教育の拡大に動き出しました。新たな制度は中等教育を2年間上積みし、さらに5歳児(Kindergarten、日本でいう幼稚園年長組)から公的教育を開始する「K to 12」(幼稚園1年間、小学校6年間、中学校4年間、高校2年間)の制度です。

Kとは幼稚園のことで、小学校に上がる前の1年間、すべての子どもは幼稚園に通わないと小学校に入れなくなりました。これはフィリピンの教育機関の発表によると、小学校前に幼稚園に通った子どもは小学校で中退する確率が下がる、つまり「小学校に6年間しっかり通い続け、卒業できるようにするためには幼稚園での教育が大切だ」という考えから来ています。

幼稚園の教育過程の目的

①対話(読む・聞く・話す等)

②数量(数、形、大きさ、簡単な足し算引き算等)

③知覚(身体、動物、植物、音、光等の特徴を五感で知覚)、

④社会性・感性(健康的な生活習慣、着衣、食事、共同生活のルール等)、

⑤運動・創造性(体育、芸術、音楽等)が柱となっており、指導言語としては、フィリピノ語及び英語が中心となっていますが、地方語での指導も認められています。

フィリピンの教育事情・幼稚園での英語教育

英語教育はとても盛んです。フィリピン人の人たちが英語が上手な理由が幼児教育の時点からの積み重ねだと理解できるでしょう。日本で幼児教育を勉強している学生のみなさん、そして実際に幼稚園や保育園でお仕事をされているかたには是非参加していただきたいです。良い刺激を受けていただけると思います。

フィリピンの教育事情・セブで見る教育

私達CECがボランティア先として派遣するセブの市内にある公立の高校(中学、高校)には2800人の生徒が通っています。 教育現場、数字上では現在日本の高校生はおよそ320万人です。フィリピンは600万人程度だそうですが、私の見る感じではとくにセブの市内の学校は生徒が多いですね。一クラスは50名程度です。

学校に通える子どもたちは幸せです。フィリピンの学校に通わない不登校の子どもたちの数は日本に比べるとびっくりするくらい多いです。日本の小学校での不登校生徒数は約3万人だそうですが、フィリピンは20万人です。日本では中学生の不登校生徒はおよそ11万人と言われていますが、フィリピン(中学高校の年齢の子どもたち)は40万人です。その多くは貧困が原因です。 (参照元)

図書館などのインフラは日本に比べると整っていません。学校にある図書館も小さく、科学の部屋の設備も古く、設備的には日本のほうがレベルは高いと感じます。 ちなみに80万人のセブ市内には公共図書館は一つしかありません。大阪市には24の図書館があります。(参照元)それと比べると少ないですね。そのセブ唯一の公共Cebu City Public Libraryは2018年3月からは24時間営業になりました。図書館というよりは学習室のような雰囲気で、多くの学生がここで勉強しています。

このように問題があるフィリピンの教育事情ですが、勉強意欲が高い生徒がいるのも事実です。日本に比べると学校も生徒同士に競争意識をもたせるために、テストの結果を教室に張り出したりしています。そうすると、「あのひとには負けたくない」という気持ちが働きより頑張る・・・そんな環境になっています。

それが良いことかどうかわからないですが、結果的には飛び抜けて学習レベルの高い子供がでてきます。 また、フィリピンでは2016年から幼稚園の年長から高校卒業までが義務教育なので学費は無料となりました。これをK-12と呼びます。これは誰にでも機会を与えるという国の教育方針なのだと思います。2015年の国連サミットで提唱されたSDGs(持続可能な開発目標)にも合致しています。

子どもたちは幼稚園から英語を使って授業を受けていますので、自然に英語の能力が高くなっています。フィリピンの中学生のほうが、日本の大学生より、英語は上手です。そして、この英語が使えるということでとても有利なことがあります。 勉強に必要な情報を英語を使ってインターネットから引き出せるのです。言語別ネットユーザーの人口ですが、英語は5億3700万人日本語9900万人と圧倒的に英語での情報量が多いことが推測されます。英語が出来れば最新の情報をいち早く得ることができます。これはフィリピン人の子どもたちのとても有利な部分です。

図書館の数のことを前述しましたが、いまは情報はインターネットから取得する時代です。特に2020年に起こった新型コロナの感染以降、フィリピンでは2022年5月現在もフィリピン全土の学校では通学が認められておらず、オンラインやプリントの授業が続いていますから、スマホやタブレット、パソコンなどは必要になります。貧困層の子供たちはPCを持てるわけではありません。インターネットへの接続も限られているため、教育格差が心配されています。

高校を卒業して、さらに大学で勉強したい生徒にはセブの政府、基金、大学等が奨学金を提供します。2018年からは国公立の大学の授業料を無償化しています。また私立の大学に行きやすいように奨学金制度を拡充しています。この奨学金は給付型で返金する必要はありません。もちろん希望者全員が取れるわけではないので学年でTOP10%の子どもたちがどこかの奨学金をうけることができると考えてください。2019年にセブの地方政府は9700人の高校生に大学への奨学金を提供しました、返済不用の給付型の奨学金です。この奨学金で授業料が安い大学であればその費用をカバーできます。

2019年、日本では大学等進学者数は約57万5,000人(前年-3,346人)で、男性は約27万4,000人、女性は約30万1,000人でした。フィリピンでは同じ年、およそ250万人が大学に進学しました。

フィリピンの教育事情の中で、子どもたちが小さいときから大人になったら何になりたいかをイメージさせます。その職業は年齢とともにかわりますが、案外その目標をもっているから頑張っている生徒もいます。 フィリピンの教育現場を見て本人にやる気と目標があればどのような環境であってもしっかり学ぶことはできるんだなと感じました。

特にそれを感じるのは貧困街に住む子どもたちの状況をみたからです。このことはまた別途お知らせいたします。

この文章は私がこの15年セブの貧困層の子どもたちのためのボランティア活動、スタディツアーの手配をしている中で見聞きして、感じたことです。フィリピンすべてのことを的確に把握しているというものではありません。ご了承ください。

フィリピンの教育事情・小学校教育

セブの小学校
Gr1(小学校1年生)からGr6(小学校6年生)の教科とその時間数(1日あたり)です。これからわかるように、フィリピンの小学校ではまず、1日のクラスの中で小学校1年生から3年生まで英語を1日90分も勉強しています。これが月曜日から金曜日まであります。また、フィリピン語はここの母国語であるタガログ語です。セブではビサヤ語がつかわれているので、生徒は英語とタガログ語を小学生の時からしっかり勉強するわけです。

また、MAKABAYANとよばれる統合科目があります。マカバヤン(Makabayan)とは、maka:「~ のために」、bayan:「郷土、国」から「国への愛情」を意味します。多民族 ・多宗教 家フィリピンでは国民的アイデンティティの形成は重要な意味をもちます。

この総合科目には社会科(歴史、地理等) 家庭科 美術 ・音楽 、体育などですが、それらの科目の中で価値教育をすすめることをめざしています。

初等教育6年、中等教育4年全体において実施されます。
"HEKASI" stands for geography, history and civics
MAPEH/MSEP. (Music, Art, Physical Education and. Health Education)
Home Economics and Livelihood Education (HELE) in the elementary grades has four components. These are Industrial Arts, Agriculture, Home Economics, and the ICT & Entrepreneurship.

HELE is also called EPP or Edukasyong Pantahanan at Pangkabuhayan (EPP) for Grades 4 and 5 because the medium of instruction is Filipino. HELE for Grades 6 uses English as the medium of instruction. For the higher grades (7-12), HELE continues to Technology and Livelihood Education (TLE).

フィリピンの高校科目

フィリピンのシニア高校の2年間(11-12)では希望に合わせた進路を選ぶことになります。

進路とは Academic Track ,Sport Track, Art and Design Track, TVL Trackがあります。 Academic にはさらにHUMSS, ABM, STEM, GASを選択することができます。
(1) Accountancy, Business and Management (ABM 経済・経営学)
(2) Science, Technology, Engineering and Mathematics (STEM 工学系)
(3) General Academic Strand (GAS 進学の進路をまだ決めていない生徒のために他のコースからいろいろとることができる。)
(4) Humanities and Social Sciences (HUMSS 文系)

HUMSSではどんな科目を学ぶかをご覧ください。
フィリピンの高校は2学期制です。

First Semester;
(1) Physical Education and Health
(2) Personal Development
(3) Contemporary arts
(4) Media and Information Literacy
(5) Practical research 2
(6) Filipino sa Piling Larang or Filipino in selected fields
(7) Creative writing
(8 Community engagement

Second Semester;
(1) Physical Education and Health
(2) Empowerment technologies
(3) English for Academic and Professional Purposes
(4) Inquiries, Investigation and Immersion or 3i’s
(5) Creative Nonfiction
(6) Trends, Networks & Critical thinking in the 21st century
(7) Entrepreneurship
(8 Work Immersion

(フィリピンの教育資料 2021年9月)

活動の様子はFacebookやInstagramでもご紹介しております。

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